契約すると銀行やコンビニATMから好きな時に借りられるカードローンに対し、一括で借りてあらかじめ決めた利用目的に沿って使うのが「フリーローン」です。
フリーローンのメリットは「カードローンより高額の借り入れができること」ですが、収入によっては希望通りの額の融資を受けられないことがあります。
この記事では、カードローンとの違いを説明し、フリーローンの収入に対する借入限度額について解説します。
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フリーローンってどんなローン?カードローンとの違いは?
はじめに、フリーローンのメリットをまとめます。
- 10%以下の低金利で借りられる(カードローンは平均14~18%)
- 銀行であれば、総量規制※を超える高額融資が受けられる
※総量規制とは年収の1/3以上は借りられない、貸金業法の規制です。銀行の住宅ローン・自動車ローン・目的ローン(フリーローン)はこの規制を受けません。
合わせて最初に述べたように、フリーローンなら審査基準を満たすことで300万円以上の高額借り入れをすることも可能です。
これらのメリットの条件として、カードローンとの違いが3つあります。
違い①最初にまとめて融資を受ける
カードローンであれば、利用限度額の範囲で何度でもキャッシングすることができます。
一方のフリーローンは、借入限度額(契約時に決められた利用限度額)まで一括融資されます。
違い②銀行振込で融資をうける(ATMでの借り入れは出来ない)
カードローンの場合は契約カード(キャッシュカードと同じ形のローンカード)が発行され、銀行やコンビニのATMで使用すると何度でもキャッシングできる仕組みです。
これに対してフリーローンの一括融資は、契約者の銀行口座に振り込む形で行われます。
③利用目的がないと借りられない
フリーローンは、利用目的を決め・これを記載した借用証書(契約書)を発行する「証書貸付」です。証書貸付において、2度以上の融資をすることは法律上出来ません。
何度も借り入れすることができないのは、このためです。
フリーローンの審査に年収制限はある?
原則として、フリーローンの審査に「ある決まった額以上の収入が必要」という決まりはありません。
例外として、一部金融機関では申込条件に年収制限を設けています。
年収制限があるフリーローンの代表が、みずほ銀行「多目的ローン(無担保型)」・「フリーローン(無担保型)」で、いずれも申込条件は年収200万円以上です。
※三菱UFJ銀行は2018年5月31日より多目的ローン(教育/車/住宅以外の目的に使えるフリーローン)の新規受付を停止しています。
安定・継続した収入があることはどのフリーローンも最低条件として設けていますが、年収制限はごく一部の銀行のみとなります。
フリーローンで借りられるのは年収の3分の1まで
年収制限はないものの、年収に対する借り入れ金額の割合は厳しく審査されます。確な基準は明かされていないものの、収入に対して希望融資額が大きすぎる場合、審査に落ちてしまいます。
借り入れ金額の目安は、銀行・消費者金融で若干異なります。
- 消費者金融のフリーローン※:年収の1/3まで(総量規制)
- 銀行:法的には年収の1/3以上借りられるものの、それ以上の融資額は審査が厳しくなる
※借り換え・おまとめローンは総量規制の対象外となります。
ただし実際には、銀行でも年収の1/3までしか借りられないことがほとんどです。
銀行でも年収の1/3までしか借りられない理由
銀行のフリーローンで年収の1/3以上の高額借り入れを希望する場合、次の2つの基準を元に審査されます。
- 返済比率(返済負担率)
- 無担保比率
これらが理由で、希望通りの金額は借りられないことがほとんどです。
返済比率とは
年収に対する年間の返済金額の割合を「返済比率」と呼びます。月収・毎月返済額で例を出すと、次のようになります。
- 例1:月収25万円・月々の各種ローンの返済額合計が5万円の場合…年収300万円・年間の返済金額は60万円で、返済比率は20%となります。
- 例2:月収30万円・月々の各種ローンの返済額合計が10万円の場合…年収360万円・年間の返済額は120万円で、返済比率は33%となります。
目安として、返済比率30%を超えると、フリーローンで借りるのは難しい金額となります。
無担保比率とは
年収に対する「無担保ローン残高の比率」を指します。無担保ローンとは、クレジットカードのキャッシング枠・カードローンの利用残高など、担保設定のないローンを指します。
- 例1:年収500万円・キャッシング残高100万円・住宅ローン残高2,000万円の場合…無担保比率は1/5
- 例2:年収1,000万円・キャッシング残高100万円・フリーローン残高450万円の場合…無担保比率はおよそ1/2
目安として、無担保比率は1/2を超えると借りるのが難しくなります。
借入限度額は年収に比例する
ここで紹介した通り、返済比率・無担保比率ともに「収入に対する返済金額・希望融資額の割合」です。
つまり、収入と融資額の大きさは連動しています。
銀行ごとに審査条件は異なりますが、フリーローンの融資額の上限は、年収に対し30~50%だと考えられます。
30%(およそ年収の1/3)を超える場合は審査が厳しくなり、審査の結果契約出来ない可能性が高くなります。
年収が低くても借りるためのポイント
「これまできちんと完済しているが、収入が原因でフリーローンを契約できないかもしれない」という悩みを持つ人は多くいます。
この場合、フリーローン申し込みの前に次の4つのポイントを押さえましょう。
ポイント①希望額は最低限に留める
審査に通過しやすくするため、借りたい金額を最小限に抑えて申込しましょう。
収入に自信のある場合でも、金額が多くなるほど契約出来ない可能性があります。
ポイント②長年愛用している銀行のフリーローンを使う
銀行は、自行で預金口座を開設し・各種サービスを利用している人を優遇します。
また、申込先銀行に預金している場合、次のように判断されて審査で有利になります。
- 返済できるだけの資産(余力がある)
- 万一のことがあっても、預金口座から回収できる
結果として、年収の1/3を超える希望借入額の場合も、審査に通る確率が高くなります。
フリーローンを選ぶときは、口座を持っている・長年取引している銀行での借り入れを優先的に検討しましょう。
ポイント③借り入れ目的をしっかり練る
そもそも借り入れ目的があいまいだと、審査担当者としても不安です。「旅行代金」「生活に必要な物品の購入」「医療費」といったざっくりとした目的ではなく、申込書には具体的に記載しましょう。
【利用目的の記載例】
- 「旅行代金」→卒業旅行で〇月〇日~1週間ハワイに滞在するため
- 「生活に必要な物品の購入」→結婚後の新生活のため、新居の家具(家具一覧も明記)を購入するため
- 「医療費」→歯の治療で差し歯を作るため・腰の治療でコルセットを作るため
フリーローンの低金利は、利用目的が明確に分かるからこそ実現できているものです。
申込書に書く内容を熟考して、資金用途証明書類(見積書・請求書)も入念に準備しましょう。
複数の利用目的でまとめて借りる事はできない
家具の購入・旅行・医療費でまとめて借りたいと考えても、一度に全ての目的を満たす借り入れは出来ません。
最初に説明したフリーローンの決まり「証書貸付」においては、利用目的は1つしか定められないからです。
目的を絞り込み、前述した通り最低限の金額の融資希望をしましょう。
ポイント④申し込みで嘘をつかない
フリーローンに限らず、カードローン・クレジットカード等のどんな審査でも、申込み時に嘘をつくのは厳禁です。
つい嘘の情報を書き込んでしまう例として、次のものが挙げられます。
収入を多めに書く
収入に関する情報は個人情報なので、銀行は調査出来ません。
しかし、審査担当者は職業・職種ごとの平均年収に関するデータベースを持っています。
よって、すぐにウソとバレてしまいます。
他社借入額を少なめに申告する
CIC・JICC・全国銀行協会といった信用情報を扱う機関に、クレジットカードやカードローンのキャッシング額・ショッピングローンにいたるまで、取引履歴の情報が細かく記録されています。
こうした信用情報はフリーローン審査の際に必ず調査されます。調査するとすぐに分かってしまうので、安易なウソは見抜かれてしまいます。
軽い気持ちで書いた嘘でも「信用できない人物」だと判断するには十分なので、これだけが理由で契約を断られてしまいます。
申込書には正確な情報を記入するようにしましょう。
返済できる範囲でフリーローンを借りよう
無理に高額のローンを組んでも、最終的に困るのは借りた人です。銀行のフリーローンで返済できない場合、最終的に次のようなペナルティがあります。
- 預金口座が凍結される
- 給料が差し押さえられる
- 返済遅延を解消しても、その後同じ銀行で各種ローンを契約するのが難しくなる(社内ブラック)
収入に見合う額を借りて、分割回数も月々無理のない金額になるよう調整しましょう。
きちんと返済すれば、再びフリーローン契約が必要になったとき、審査に有利に働きます。
まとめ
フリーローン(多目的ローン)は低金利・高額融資がメリットですが、借入額について厳しい審査が行われます。
無理に多額の融資希望をすると、審査に落ちて契約できない・返済に苦しむといった状況に陥ります。
- 希望融資額は年収の1/3程度までに抑える
- いつも利用している銀行で、目的を明確にして申し込む
金利よりも確実に借りることを優先したいのであれば、この2点をおさえて申込しましょう。