2018年現在、貸しすぎ問題を受けて銀行系カードローンの審査が厳しくなっています。メガバンクの有名カードローン・地銀・ネット銀行のほぼ全てで貸付上限額が定められ、即日融資も全面停止されました。
さらに追い打ちをかけるように、カードローンとは別の融資事業で不祥事まで起こっています。
「銀行系カードローンに申し込みたいけど、審査はどう厳しくなったのか」
「早めに申し込んだ方がいいのか」
「審査に通過するにはどうすればいいのか」
そんな疑問点について解説します。
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9割の銀行カードローンが貸付上限を設置する動き【2018年】
年収の3分の1までしか借りられない制限「総量規制」は貸金業法で定められており、本来であれば銀行が従う義務はありません。
銀行系カードローンは貸付上限の決まりがない銀行法に則って運営されているため、一旦審査に通れば増額しやすいことがメリットでした。
しかし、今は銀行系カードローンの貸しすぎ問題が噴出しています。
2017年末から銀行が一斉に総量規制の自主的制限を設けて、2018年の3月~8月の間にほぼ全国の銀行のうち88%が「年収に対する貸付上限枠を決めている」と回答しています。
参考:8月26日付・朝日新聞デジタル
メガバンクは年収3分の1以上の借入が実質不可に
三菱UFJ銀行(バンクイック)・みずほ銀行・三井住友銀行の三行は、2018年1月から自主的な総量規制を行っています。これにより、他社借入額と合わせて年収の1/3までしか借りることが出来なくなりました。
それ以上の希望融資額でも申込みは可能ですが、その場合は審査に落ちる・または限度額を引き下げての審査通過となります。
地方銀行も年収2分の1以上の融資を自主規制
国内にある106の銀行のうち、全体の半数にあたる59行が「融資額を借り手の年収の2分の1」までにしていると8月に発表しています。このほとんどは、地方銀行と呼ばれる中小規模の銀行系カードローンです。
メガバンク・都市銀行系のカードローン同様に、新規申込の際は希望融資額を出来るだけ低く抑える必要があります。
銀行カードローンが自主的に貸付上限を定める理由は?
先に述べたように、銀行系カードローンの貸しすぎ問題は近年批判の対象になっていました。
実態を暴露する本まで出版されたほどです。実際に、とても返済しきれないまとまった額を銀行系カードローンで申込み、債務整理や破産に至ってしまう人が多くいました。
最近問題になっているのは、カードローンではなく不動産投資のための融資に関するスルガ銀行の不祥事です。
この一件により、比較的ゆるい自主規制を行っている地銀も、審査基準のさらなる見直しを行う可能性があります。
スルガ銀行で「ずさんな審査体制」が問題に
スルガ銀行は地銀のモデルケースと言われるほどの利益を出していましたが、そのほとんどはローン事業による利息収入でした。個人向けのカードローンも「審査が甘い」ことで知られています。
しかし、本来は銀行の審査に通すべきでない人にも強引に貸付を行い、そのためには書類の改ざんまで行っていたことが分かりました。
他の銀行についてはまだ詳しく調査されていませんが、今後は問題が飛び火する可能性があります。
銀行の経営状態も、わずか半年で急激に悪化しました。万一さらなる業務停止処分があれば、倒産も危ぶまれます
そもそもこの問題は、地銀ならではの営業部・審査部の距離の近さが主な原因です。しかし大元を探ると、現在の日本で行われている超低金利政策(マイナス金利政策)に端を発することが分かります。
マイナス金利になってから利益重視のカードローン事業にシフト
今の政策下で銀行保有資産を日銀に預けると、日銀に対して逆に利息を払うことになります。
そこで銀行は、日銀に自行の資産を預けるのではなく、一般の消費者に向けて貸付を行うことで収益を得る方法を見出しました。
国としては「お金が世の中に出回って景気がよくなるように」というのが狙いですが、利益を重視するあまりにスルガ銀行問題のような無理な貸付が目立つようになり、金融庁の立ち入り検査や日弁連の批判の対象となっています。
消費者金融化で銀行の信頼性が薄れてきている
さらに問題だったのは、銀行系カードローンが安易に顧客勧誘することでした。
即日融資の実施・テレビCMで借りやすさを強調し、サラ金問題の絶頂期の消費者金融の状態に陥っていたのです。
これは「銀行は信頼できる顧客にしか貸付しないので、倒産する可能性が低い」と期待している投資家を裏切ることになります。
返済できない人が増えれば日本経済の停滞にも繋がってしまうため、もう一度締め付けようという動きが活発になっています。
審査手続きの追加で即日融資不可に
貸付上限の設定以外にも、借りる人にとって不利な審査基準の変更点があります。それは「即日融資の停止」です。
これは、貸し渋りや審査基準の引き上げではなく、手続きに新しく「警察のデータベースとの照合作業」が加わったのが理由です。
反社会勢力によるマネーロンダリング・犯罪目的の資金流用・計画破産を防ぐのが目的で、一般のカードローン利用者に対する制限ではありません。
どうしても当日中にお金を用意したいという場合、今の状況では銀行系カードローンではなく消費者金融を選ぶ必要があります。
2018年以降も有効!銀行カードローン審査に通る4つのポイント
このように厳しくなった銀行系カードローンですが、最大の特徴である低金利(最高金利14%~15%)は魅力的です。
申込の事前準備や申込み時のポイントをしっかりと押さえれば、2018年現在でも銀行系カードローンの審査に通ることは難しくありません。以降は、申込前に目を通しておきたい4つのコツ・ポイントを紹介します。
ポイント①限度額を最低限まで抑える
消費者金融・銀行系カードローンの共通項として「貸付上限額いっぱいまで借りられるわけではない」ということが挙げられます。
限度額の審査基準となるのは、年収・それに対する銀行が独自に定めた上限額以外にも、次の要素が挙げられます。
- 申込者属性(職業や勤続年数・居住形態等から総合的に判断)
- 信用情報と過去の完済実績
これらを評価し、銀行が判定した返済能力の範囲内で限度額が決められます。むやみに希望融資額を大きく設定すると、審査に落ちてしまうと考えましょう。
用途・利用時期から希望融資額をしっかりと見定めて、最低限の金額で申込みすることがポイントです。
ポイント②クレカを延滞したら関連会社のカードローンはNG
銀行系カードローンで参照する過去の返済実績(信用情報またはクレジットヒストリー)には、次の2種類があります。
- 信用情報機関に保管されている情報
- その銀行や関連会社の利用情報
全社の場合、返済トラブルを起こしても一定期間が経過することで、ブラックリスト(金融ブラックまたは金融事故歴)は抹消されます。ところが後者の場合、半永久的に記録が残ります。
この状態は「社内ブラック」と呼びます。社内ブラックのなかでも最も重いのは、債務整理・返済中の過払い金請求です。こうした金融事故を起こした場合、審査に通る望みはほぼありません。
たとえば三菱UFJ銀行のバンクイックなら、同行が発行するMUFJカードで延滞を起こすと、社内ブラックの対象となり審査に落ちてしまう可能性が高くなります。
過去に返済トラブルを起こしたことがある場合、その関連会社にあたる銀行を避けてカードローンを選びましょう。
ポイント③他社借入は完済するかおまとめローンで一本化
銀行の審査の特徴のひとつに、他社借入件数を重視する点が挙げられます。借入残高がそれぞれ少額でも、2社以上からキャッシングしていた場合は不利となります。
出来る限り完済するか、借り換えローン(おまとめローン)を利用しましょう。
もし銀行系カードローンの利用目的が「借り換え/おまとめ」だった場合、申込先の銀行で借り換えできるか申込条件を確認しておくことも大切です。
ポイント④収入証明書を提出する
メガバンクや一部の地方銀行では「希望融資額50万円以下は収入証明書不要」としています。しかし、仮に少額を借りたい場合でも、給与明細や源泉徴収票は準備しておきましょう。
理由の1点目として、審査途中で必要となる可能性があります。スムーズに提出できないと借入までの期間が延び、必要なタイミングでキャッシングすることが出来ません。
次に述べる2点めの理由が最も重要です。
それは、申込書で嘘をついていないこと・収入が安定していることの確かな証明になることです。書面で返済能力を証明できると審査担当者の評価が高くなり、より通過しやすくなります。
まとめ
サラ金問題が沈静化したあと、国が行った金融政策により銀行は一斉にカードローン事業に注力するようになりました。
結果として、返済できない人に強引に貸し付けたり、もともと返済する気のない人が借りたりする問題が指摘されています。
いま審査基準が厳しくする目的をまとめると、次のような理由があります。
- 無理なく返済できる額の範囲内で貸付を行い、利用者が困らないようにする
- 貸し倒れや業務停止処分を避けて、銀行そのものの信用を取り戻す
- 警察のデータベースに照会して、反社会勢力に貸さないようにする
希望融資額と他社借入件数を最低限に抑え、収入証明書も併せて必要な書類をきちんと揃えれば、決して審査に通過することは難しくありません。
申込条件をしっかりと確かめて、事前準備に手抜かりがないようにしましょう。