国民年金は過去の未納分をさかのぼって支払った方が得!何年前までさかのぼれるの?

国民年金は過去の未納分をさかのぼって支払った方が得!何年前までさかのぼれるの? お金の豆知識

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国民年金の過去の未納分はいつまでさかのぼれる?

国民年金に加入していて過去の未納分がある方、支払わずにそのままにしていませんか?

さかのぼって支払うと、将来の受け取り額が増やせます。

しかし納付には期限があるので要注意です。

学生時代や失業期間中の未納分、一体いつまでさかのぼれるのか詳しくみていきましょう。

国民年金の支払い期限

国民年金の納付期限は2年間です。

未納があっても、過去2年1ヶ月までさかのぼって支払うことができます。

現在が2020年4月だとすると、2018年3月までさかのぼることができるのです。

2年は短いと思われた方もいるかもしれませんね。

実は2018年9月末までは、5年間の猶予がありました。

さらに2015年9月の時点では、10年間のさかのぼりが可能だったのです。

残念ながら今は未納分の時効は2年間となっていますので、それ以前の未納分を支払うことはできません。ただし一部例外もあります。

免除・納付猶予・学生納付特例を受けていた場合

学生納付特例を受けていた方や、支払いが困難なため免除や納付猶予制度を利用されていた方には、10年間の納付期限が設けられています。

免除を受けていた方が追納(後払い)をすることで、基礎年金の年金額を増やすことが可能です。

追納により、確定申告や年末調整で税金が戻る場合もあります。

国民年金の過去の未納分は支払うべき?

国民年金の未納分があっても、以前はさほど厳しくありませんでした。

しかし日本年金機構は平成26年度から、未納者に対し厳しい処置をとるようになったのです。

受給額が減る

当然ですが、未納分の期間は受け取れる年金額が減ります。

1ヶ月納付しなかった場合、将来もらえる基礎年金は年間で約1,600円減額になってしまうのです。

「年間でたったの1,600円なら支払わなくてもいい」という方へ、100歳まで生きた場合のトータルで見ていきましょう。

1ヶ月未納……1,600円/年×35年=56,000円
1年間未納……1,600円×12ヶ月/年×35年=672,00円

こうみると支払おうという気になりますね。

2020年2月時点の国民年金保険料は、月額16,410円です。1ヶ月の未納分を支払うと、おおよそ10年で元がとれます。

厚生労働省によると、私たちの平均寿命は男性が81.25歳、女性が87.32歳です。

平成2年の調査では、男性75歳、女性81歳だったので、これからさらに高齢化していくことが考えられます。

参考元:厚生労働省 平成30年簡易生命表の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life18/dl/life18-15.pdf

催促を無視すると財産が差し押さえられる

平成29年度に、年金の未納による財産の差し押さえは、1万4,344件ありました。

これは人ごとではありませんね。もちろんすぐに差し押さえが施行されるわけではありません。滞納をしてから財産が差し押さえられるまでを、順を追ってみてみましょう。

  1. 国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催促状)が届く
  2. 電話や自宅訪問がある
  3. 特別催告状が届く
  4. 最終勧告状(国民年金未納保険料納付勧奨通知書)が届く
  5. 催促状(強制徴収)が届く
  6.  差し押さえ予告通知書が届く

1. 国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催促状)が届く

自宅にめくるタイプのハガキが届きます。この時点ですぐに支払えば問題ありません。

2. 電話や自宅訪問がある

訪問するのは日本年金機構ではなく、民間の委託会社です。詐欺ではないかと疑ってしまいそうですが、支払いを無視すると行政指導がスタートします。

3. 特別催告状が届く

催促をしても支払いがされないと「特別催告状」が届きます。段階によって封書の色が変わりますので「自分が今どの段階にいるのか」を判断できます。

1回目…青
2回目…黄色
3回目…赤

4. 最終勧告状(国民年金未納保険料納付勧奨通知書)が届く
最終勧告状は、所得の一定の基準を満たした方のみに発送されます。

5. 催促状(強制徴収)が届く

この段階は強制徴収になり、裁判所が関与して未納者の財産を差し押さえることになります。

未払金に年利14.6%の利息がつき、家族がいる場合は連帯納付義務者として、家族にも支払いの義務が発生します。

世帯がある方は、個人だけの問題ではなく、家族も同様に差し押さえを受けることになるのです。

6. 差し押さえ予告通知書が届く

差し押さえ予告通知書が届いた段階で、日本年金機構は滞納者の財産状況を調査済です。

給与や証券、土地や家、自動車まで換金ができる資産は全て調査対象となります。

このような一大事にならないためにも、国民の義務をしっかりと果たしましょう。

国民年金の未納分が支払えないとき

収入が激減したり、失業したりすると、納付がむずかしい状況に陥ります。

そんなときは未払いのままにせず、いずれかの対策をとる必要があります。

免除・納付猶予制度を利用する

3つの対応策を紹介します。

  1. 学生納付特例制度
  2. 納付猶予制度
  3. 保険料免除制度

1. 学生納付特例制度

20歳以上の学生さんには「学生納付特例制度」があります。

家族の所得は関係ありませんので、ほとんどの学生が対象となります。

2. 納付猶予制度

本人・配偶者の前年度の所得が一定以下の場合、本人の申請が承認されると納付が猶予されます。

ただし条件があり、50歳未満の方に限ります。

また猶予期間は年金額への反映がありませんのでご注意ください。

3. 保険料免除制度

本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額より少ない場合や、失業をして納付が困難な場合、申請により納付が免除されます。

免除額は4種類で、全額・3/4・半額・1/4です。

また配偶者のDVを受けた方で、ある一定の収入が見込めない場合も免除可能です。

配偶者と住所が違う場合は「特例免除」が受けられ、配偶者の所得に関係なく支払いが免除されます。

60歳を過ぎても未納分が支払える任意加入制度とは

国民年金の加入期間は、20歳〜60歳の40年間となっていて、全て納付すると65歳から満額受け取れます。

加入が40年に満たない場合は、60〜65歳まで保険料を支払うことで受給額が増やせる「任意加入制度」がオススメです。

国民年金で将来もらえる受給額は?

自営業やフリーランスは個人年金に加入しない場合、将来受け取れるのは国民年金のみです。

一体いくらもらえるのか、計算式も交えて説明します。

満額で年間78万円

40年間すべて支払うと、満額の78万100円が毎年受け取れます。

ただしこれだけで生活していくのは厳しいという声も。

国民年金基金やiDeCoに加入することで、老後も安定した保険料が受け取れます。

受給される年金の計算方法

以前までは、保険料を25年間納めていないと受給資格がありませんでした。

しかし無年金者をなくすため、平成29年8月から制度を変更。10年間の加入でも年金給付が受けられるようになりました。

もちろん満額ではありませんので、ご自身が将来いくら受け取れるかを計算してみましょう。

基礎年金の算出は、以下の式に納付月を当てはめて計算できます。

78万100円×(60歳時点での保険料の支払月÷480ヶ月)=年間受給額

たとえば保険料を20年間支払っている場合
78万100円×(12ヶ月×20年÷480ヶ月)=390,050円

満額もらえる方のちょうど半額になる計算です。

国民年金を支払うメリットとは

平成29年度に2年以上、国民年金の保険料を支払っていない未納者は157万人でした。

また加入していない人口も9万人、合わせると166万にも及びます。

国民の義務だからとしぶしぶ支払っている方は、国民年金のメリットを知ってください。

障害年金や遺族年金が受け取れる

国民年金は、将来の自分のためだけではなく、万が一のときに残された家族を支えてくれる制度でもあります。

障害年金とは

病気や事故で働けなくなった場合、65歳を過ぎていなくても支払われる保険料です。

障害の状態は重い順に1級、2級、厚生年金には3級まであります。

1級は年額97万5,125円、2級は78万100円が受け取れます。

また18歳未満の子どもがいる方には、第1子・第2子は各22万2,400円、第3子以降は各7万4,100円の加算がつきます。

遺族年金とは

国民年金に加入していると、万が一のことがあったときに、残された遺族に対し遺族年金が支給されます。

遺族とは、亡くなった方の収入で生活が維持できていた家族のことです。

受給対象者は子どもがいる配偶者と未婚の子どもで、子どもが18歳になるまで78万100円+子どもの加算分が受給できる仕組みです。

子どもの加算分は障害年金と同額になります。

子どもが18歳を過ぎてからも、配偶者は60〜65歳のあいだに寡婦(かふ)年金を受け取ることができます。

ただし子どもがいない夫や妻は、受給できません。

障害年金や遺族年金が受け取れる条件

どちらの保険料も受給できる前提として、亡くなった方が国民年金をきちんと納めていたことが条件です。

 死亡月もしくは初診日の前々月までに、2/3の保険料が納付、または免除されている
 直近の1年間に保険料の未納がない

いずれかを満たしている必要があるので気をつけましょう。

公的年金は終身保障である

国民年金のメリットは、長生きすればするほど多くの年金額がもらえることです。

底を尽きないほど資産があれば別ですが、貯金は長く生きるほど残高の心配をしなければなりません。

しかし年金は無限です。100歳を過ぎても受給できることが、老後の精神的な負担を取り除いてくれるでしょう。

国民年金との賢い付き合い方

国民年金には、支払い金額を減らせたり、受給額を増やせたりする方法があります。

国民年金は2年一括払いがお得

2年間の保険料をまとめて前納すると、1万5,840円の割引が受けられます。

平成29年からはクレジットカードでの納付も可能になりました。

ただしカード払いの割引は1万4,590円と少し下がりますが、それでも断然お得です。

2年前納を希望される場合は、申出書による手続きが必要です。

また割引率は下がりますが、6ヶ月や1年の前納も可能となっています。

基礎年金の繰り下げ受給

受給開始を遅らせることで、支給率がアップします。

受給開始の時期については、60〜70歳のあいだで月単位での変更が可能です。

1ヶ月早めると支給率が0.5%ずつ下がり、遅くすると0.7%ずつ上がります。

65歳でもらえる金額が100%なので、60歳から受けとると70%〜、70歳で受けとると142%の年金が支給され、支給率は一生変わりません。

何歳が寿命か分からないので一種の賭けでもありますが、このような制度は国民年金ならではのメリットです。

まとめ

国民年金の過去の未納分は、できるだけ支払った方がいいということが分かりました。

年金は将来もらえるお金であると共に、万が一の状況になったときに残された家族を守ってくれる保険です。

ねんきん定期便をきちんと見ていなかった方は、すぐに未納分がないかチェックしましょう。

次のねんきん定期便は、あなたの誕生月に送られてきます。

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